結婚式はセレモニー。雷雨、1994。

あれ？これ、どこだっけ？

私が撮った写真なのに。

『結婚式はセレモニーだから、やったほうがいい。』

当時の上司に

結婚式はやらないかもしれない、

と告げたとき、

返ってきた言葉だ。

地味婚が流行りつつあった、1994年。

結婚を決めたのも急だった上に、

会社の上司に報告↑したと同時に

相方の転勤の内示。

え？転勤？本社？え？え？あたしは？

退職するの？

相方と話し合って決めていた予定は一旦白紙に、

練り直し、さらに前倒しの急展開に。

友達や先輩の結婚式に数回出て、

結婚式の必要性を精査した。

私には結婚式願望はない。

もともと、結婚に憧れがない。

両親は顔を会わせる毎にケンカしていたし(今も)、

そのおかげで、

進学を諦める憂き目にあった。

たまたま相方には出会ったが、

派手に祝う理由はない。

結婚は日常だ。

ドレスを取っ替え引っ替えして

人に見せるのも恥ずかしい。

ゴンドラとかキャンドルサービスとか、

絶対ムリ。

もちろん、

人のお祝いはしてあげたい。けど、

私ごときに人を集めて何かやる必要ある？

…くらいの感じだった。

相方もほぼ同じ考えだった。

だけど、

この上司とのやりとりで、考えた。

え？セレモニーって儀式ってこと？。

なるほど。

神様に報告する儀式。

やっといた方がいいのかも。

やるならちゃんとやろー、ちゃんと。

じゃ、神社だな。どこにする？

当時、私の地元の博多に二人ともいて、

相方の実家は山口。

…神社。

そういえば昔、小さい頃、

博多どんたくに出ていたとき、

街を練り歩く２日目

途中、昼休憩に寄る神社があった。

お庭が広くて素敵だったなぁ。

あれ以来行ってないけど、たしか、

相方のマンションから近いはず。

すぐに行ってみる。

広大なお庭に、古いけど素敵な神殿。

福岡県護国神社。

立派な鳥居が目を引く、

街中に立つオアシスのような所だ。

子どもの頃の印象より

はるかに素敵な場所だ。

当時はあまり結婚式をやってなかったのか、

神社の方は「うちでいいんですか？」

くらいの返事。

ええ、是非お願いします。

衣装と着付けの先生もそこで紹介してもらい、

この方たちが、すんごい人たちで、

町中で静かに店を経営しているお婆さん二人が、

実は、その道の重鎮らしい。

衣装も着付けも、なんだかふわっと決まり。

セレモニーをすることになった。

神社の玉串料はリーズナブル、

衣装は相方のと合わせて、30万円。

着付けの先生たちが、

式だけしか衣装を着ないなら、

白無垢ではなく、色打掛にしたら？と、

薄いピンクの内着に黄緑の帯、

金糸の打ち掛け、文金高島田。

衣装は相方と母がサクサク決めた。

自分では何が似合うかわからないので、

見た目に良いものにしてもらう。

結果、

結婚式を神社で、

披露宴ではなく結婚報告会として宴会を企画。

勤務先の博多は福新楼で、

転勤先、東京は赤坂離宮で。

中華食べたかっただけかもー。

友人や同僚たちに出席してもらい、

お祝いは貰わず、会費制に。

後輩や下宿住まいの同僚が多かったので、

負担をかけたくなかった。

引菓子は石村萬盛堂の巣籠もりたまご。

司会は同僚に頼み、事前にお礼。

出し物もその場で即興カラオケ。

雛壇は作らず、自分達も同じテーブルで宴会。

楽しくて美味しい報告会になった、と思う。

その後、それを気に入ってくれたのか、

後輩たちも同じように式を挙げたらしく、

護国神社は、結婚式スポットになっている。

でも、一度見ると忘れられないほど、

素敵な神社だ。

小さい頃の記憶がこんなところで役に立つとは。

上司の一言が発端だったけれど、

やってよかったと思う。

なにより、

自分で好きにやれたのは、

楽しかった。

招待状の印刷から、引菓子まで

本当の手作り結婚式だ。

そういえば、結婚式当日、

ってか、式が始まったと同時に、

雷雨。どしゃ降り。

入場から、バケツをひっくり返したような雨。

巫女さんの太鼓の音と同時に、雷鳴。

え？これ、雷さまの太鼓か？

もう、クスクス笑いの状態。

雨降って地固まる、どころじゃない天候。

その様子は、ビデオにも残っている。

護国神社の神様は、

私たちの何かを洗い流すために、

雷雨にしたのだろうか？。

あたし？相方？誰？

で、その何かは、

しっかり流せたんですかーーー？